ヒューマンブリッジ

先月に引き続き今月も審美歯科の新しい治療法をご紹介します。

前歯が１本抜歯になった場合、通常は両隣の歯が神経が残っている生活歯ならば麻酔をして全周をぐるりと削って、

神経を取ってある失活歯ならば専用の材料を使ってまず土台を作り、それを全周ぐるりと削って型を取り

唇面（正面から見て見える部分）は周囲の歯の色に合わせてブリッジを作製します。

これは保険でも自費でもどちらでもできますが使える材料が違いますので保険の場合、審美的にやや劣ります。

また、隣の健康な歯を歯を削りたくないという人には、インプラントという治療法もあります。

これは歯を抜いたところにチタン合金のネジタイプの金属を埋め込んでそれを根の代わりにして

その上に被せ物をするやり方で歯科のインプラントは日本語では人工歯根と呼ばれる所以です。

ただ、これは特に前歯の場合、かなり高度の治療技術を必要とし、術前、術後のCT撮影も必要で

治療費も全額自費治療となりかなり高額な治療となります。医院によって異なりますが

１本につき３０万円前後はかかります。

取り外しの部分入れ歯という治療法もありますが、審美性も悪く、異物感もあり、毎日の取り外しが煩わしく、

これを希望する人はほとんどおらず、現実的ではありません。

今回紹介するヒューマンブリッジという治療法は隣り合った歯を必要最低限しか削らず、手術なども必要ないため

第４の選択肢として注目されています。特徴は以下の通りです。

１）隣り合った歯をほとんど削らないので歯へ与えるダメージを最小限にできます。

２）インプラントのように外科手術も不要で、無麻酔でほとんど痛みはありません。

３）心臓病や重い糖尿病などの持病をお持ちの方、手術に強い恐怖感を覚える方などにも対応できます。

４）セメントで接着させて固定するので取り外しの手間はありません。

５）基本的に隣り合った歯の噛み合う面は削らないのではめた後の違和感はあまりありません。

料金はこれも自費治療のため、保険ではできません。当院では１歯欠損の場合で２０万円で行なっています。

以下は当院で行った治療例です。４０代の女性で右上２番目に被せ物が入っていましたが、根の状態が悪く抜歯となりました。

両隣がきれいな健全歯のためヒューマンブリッジを希望され作製しました。左上が術前の写真、右上が装着後、

左下が装着後を裏側から見た写真です。セラミックを使用しているので歯の色は両隣の自分の歯とほとんど変わりません。

両隣の歯はほとんど削らず裏側から金属を貼り付けた程度というのがお分かりでしょうか。

上下の噛み合わせが深かったり、歯周病で両隣の歯の動揺が大きかったり、歯ぎしりがひどかったりなどのケースは

外れる危険があり適応が難しいのですが、適応ケースならかなり高い満足度が得られると思います。

関心がおありの方はお気軽にお尋ねください。