咬合性外傷
歯がぐらつく=歯周病と思ってる方は多いと思います。もちろん、歯周病が原因のケースが一番多いのですが
噛み合わせが悪くても歯はぐらつきます。今回は咬合性外傷について解説します。
咬合性外傷とは歯の噛み合わせが原因で生じる歯周組織の病変のことです。一次性咬合性外傷(図4-a)と二次性咬合性外傷(図4-b)があります。
一次性咬合性外傷は歯周病に罹っていない歯に起こるものです。歯ぎしりや噛み合わせの高い被せ物を入れたりした場合、
特定の歯に過剰な力が加わることになります。そうなると歯の周りの組織がそれを無理に受け止めようとして、歯と歯槽骨の間にある歯根膜という
組織が広がり、歯がわずかに揺れるようになったり、噛み合わせの時、痛みが出ることがあります。
上図は写真の左上から2番目の歯のレントゲン像です。根っこの周りの骨がかなり吸収しているのがわかるでしょうか。
歯周病の場合、口の中の環境は同じですから、特定の1本だけが骨が溶けるというのは変ですよね。
写真を見ると下の歯との噛み合わせが悪いのがわかると思います。これが一次性咬合性外傷の典型例です。
二次性咬合性外傷は歯周炎が進行して歯に起こるものです。歯周炎で支えている歯槽骨が少なくなると、歯周組織が健康な時と比較して普通の噛み合わせの力でもきちんと受け止めることができなくなります(図4-b)。よって噛んだ時に歯が大きく動いたり、噛んだ時に痛みが出たりします。
いずれの咬合性外傷の場合も。その原因を突き止め、対応する必要があります。
一次性咬合性外傷の原因の一つとして過度の食いしばりや歯ぎしりがあります。噛み合わせ時に干渉がありそこに咬む力が集中すると上図のように
そこだけ骨の吸収が進行します。
これがさらに進行すると下図のようにはが真っ二つに割れてしまいます。これは右上一番奥の奥歯ですが
端っこがかけるだけの割れ方なら破片を除去すれば残りは残せますが、下図のように割れたら抜歯するしかありません。
虫歯にも歯周病にもなっていないのに抜歯になるのはとても残念なことですね。
咬合性外傷の治療法は、一次性の場合は噛み合わせの診査と調整がまず行う治療です。歯周病の治療も重要で炎症を静めるようにしていきますが
炎症が治まっても歯の揺れが収まらない場合などは、冠なども使い固定することもあります。二次性の場合は歯槽骨が溶けているため、治療しても
完治しない場合があります。それを回避するためにも初期段階で歯石散りなどの歯周病予防が重要になります。
自分で咬合性外傷を確認する方法としては、前歯の唇面、奥歯の頬面に人差し指の腹を当てカチカチと噛みます。指の腹にそこだけ他の歯より
振動を感じたらその歯は一次際の咬合性外傷が疑われます。ひどくなる前に歯科医院を受診して詳しく調べて適切な治療を行いましょう。